この記事は約 3 分で読めます。
当方、宅地建物取引士と言うこともあって、デリヘルやメンズエステ承諾物件の原状回復費用についてよくアドバイスを求められます。
そこで、今回は原状回復費用負担の原則についてお話しします。
まず雑居ビルを借りて、そこに造作を建てる場合はスケルトン返しをするということは皆さん認識されていることでしょう。
ところが、デリヘル事務所やマンション型メンズエステなどは居住用としても使用される物件の一室を借りることが多いのでそこに誤解が生じるようです。
特段造作を施すことは無く、居住用に準じた使用をするとしても事業用物件と契約する限り、消費税の負担は生じますし、解約する場合も原状回復費用は全額借主負担が原則です。
国土交通省が作成する「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば
その負担割合については、「賃借人の通常の使用により生ずる損耗」(いわゆる経年劣化等)は賃貸人が負担し、「賃借人の通常の使用により生ずる損耗以外の損耗」(賃借人の故意・過失、善管注意義務違反等による損耗等)は賃借人が負担するとされています。
しかし、これは居住用賃貸借を想定して作られたものです。
事業者を保護するものではありません。
また居住用の場合は賃貸期間によっても負担割合が変わります。反比例が原則で住んでいる期間が長ければ長いほど貸主の負担が増加します。
しかし、事業用だと期間に比例し長いほど損耗し負担が増しますので、賃料の3か月分程度かかることは珍しくありません。
スケルトン返しの場合は借主が自分で工事依頼をするので、その費用の中身に問題はないでしょう。
しかし、マンションの一室をデリヘル事務所やメンズエステのルームとして貸し出す場合は通常の居住用賃貸同様、大家さんや賃貸管理会社依頼で原状回復が行われます。
ですから、その請求内容について一定の注意が必要です。
物価高の折、建材も高騰していますので、過大な費用が請求されていないかは見分けがつきづらいですが、原状回復以外に新たな設備設置まで請求されていないかは注意です。
また、入居時にすでにあった傷の部分まで請求されていないかは要注意です。
事業用物件においては、多少の傷でも入居前に原状を写真に納めるなどの注意が必要です。